一学期の半分の振り返りと、IESEについて

8月中旬にバルセロナに来てから二か月が経ち、一学期の半分が終わったところだ。区切りも良いタイミングなので、IESEという学校や学習環境を含め、これまでの体験をまとめておこうと思う。

 

IESE Business School

日本での知名度はあまり無いが、IESEはグローバル・欧州のトップビジネススクールに分類される。2018年のFinancial Timesのランキングでは、グローバルで11位にランクインしている。また、数日前に発表されたThe Economistのランキングでは、グローバルで6位、欧州で1位にランクインしており、学校でちょっとした話題になっていた。

他校に比べて特徴的なのは、教育への情熱だと思う。人間の能力は生まれた時に与えられるものなのか、開発できるものなのかという議論は良くされているが、IESEの教授やスタッフは、教育による能力開発の可能性を心から信じているように思う。インテンシブな教育プログラムに対して辛さを感じることもあるけれど、とても良く練られたプログラムであると感じている。入学式での学長からのウェルカムスピーチでも、「一年目は、IESEの教育プログラムを信じて時間と労力を投資して欲しい。絶対に裏切られることはないから。」という言葉があったことを覚えている。

 

セクション、チーム、学生

IESEには、一学年約350人の学生が在籍しており、5つのセクション(日本の学校で言うクラスのようなもの)に分けられる。そして各セクションの約70人が、8つのチームに分けられ、このセクション、チームで一年間を過ごすことになる。

チームは、国籍やバックグラウンドが重複しないように決められるため、国際的で多様性に富んだチームで協働する経験を得ることができる。ちなみに僕のチームメイトの国籍は、ポーランド、米国、コロンビア、レバノン、ブラジル、中国、スペイン、スペイン、日本と、国際性豊かであり、バックグラウンドも多様だ。

欧州のビジネススクールの学生は、米国と比べて国際的でマチュア(職務経験豊富)であると言われることが多いが、それはIESEの学生にも当てはまっていると思う。そして皆優秀で、一緒に勉強することで多くの学びを得ることができる。特に素晴らしいと思う特徴は、皆国際経験豊かだからか、他の学生に対して優しく寛容であるところだ。授業で発言すること、チームでリーダーシップを取ることは、正直自分にとって楽ではないある種の挑戦なのだけど、今のところ積極的に取り組むことができているのは、優しく寛容な学生たちが作ってくれているセクションやチームの雰囲気のお陰だと思っている。

 

授業

授業は、基本的にケースを用いて進められる。ハーバード等他校のケースを使う時もあれば、IESEオリジナルのケースを使う時もある。一学期の授業は、Analysis of Business Problems、Marketing Management、Leadership、Financial Accounting等で、内容はそれほど難しくはないが、ケースでの授業形式や授業でのディスカッションに適応することに難しさを感じている。

 

IESEの授業は75分間と短めなので、集中しているとあっという間に終わってしまう。また、一日3ケースをこなすため、予習に追われ復習に割く時間がなかなか取れないこともあり、各授業の内容を十分に吸収できていないように感じている。ケースからの学びを最大化するためには、内容を十分理解するため準備に時間を掛けて、「自分がケースの主人公だったらどうするか?」というところまで考えて授業に臨むことが必要と感じている。また、ケースでの授業はディスカッションが中心であり、クラスに貢献するため、あるいは良い評価を得るためにはディスカッションに積極的に参加する必要がある。しかしながら、自分の場合は、英語力不足やディスカッションへの慣れ不足から、ここでも苦労している。僕のTOEFLスコアは110点弱なので、英語が苦手というわけではないのだが、ハイスピードかつ多様なアクセントのやり取りを聞き取り理解し、自分の意見を言うためにはまだまだレベルが足りていないと感じている。

 

上記に挙げた授業以外にも、Communicationというパブリックスピーキングに関するクラスもある。そこでは、毎回オリジナルのスピーチを準備し、チーム、あるいはセクションの前で実際にスピーチをする。授業には、教授だけでなく元女優の外部講師やプロのトレーナーが参加し、パブリックスピーチスキルについてインテンシブに訓練を受ける。自分にとって、パブリックスピーキングは正直苦手な領域だけど、毎回準備し、実践し、率直なフィードバックを受けていく中で、自分のスキルが向上していることを感じる。ソフトスキルに関する授業があったこと、そしてとても実践的な内容であったことに驚いた。

 

長々と書いてしまったが、IESEでの一学期の半分を振り返ってみると、良く練られた教育プログラムの下で優秀なクラスメイト達と一緒に勉強することで、上に書いたような様々な自分自身の課題に気付くことが出来たのが大きな収穫だったかもしれない。そして、IESEの学習環境を最大限に生かすことで、これらの課題を克服できるようにも感じている。今後も一日一日を大切にして、MBA生活から最大限の収穫が得られるように努力していきたいと思う。