「ファイナンス思考――日本企業を蝕む病と、再生の戦略論」

mixi社長の朝倉祐介氏の著書であるファイナンス思考を読んだ。

日本企業で一般的なP/Lに焦点を当てた経営と対比させる形で、ファイナンス思考に基づく経営について紹介している。P/Lに焦点を当てた経営が短期志向に陥りがちで管理的・調整的である一方、ファイナンス思考に基づく経営は企業価値に焦点を当て、長期・未来志向で戦略的・逆算的であり、これからの低成長時代の企業経営において、ファイナンス思考が重要であると指摘されている。

私自身、日系大企業の管理部門でP/Lに焦点を当てて仕事をしてきたが、その中で限界を感じていたため、著者の指摘が非常に良く理解できる。本書で指摘されている通り、P/Lに焦点を当てた経営は、高度経済成長期には良く機能していたのだろうが、低成長で国際競争が激化している昨今の経営環境下では、構造的な困難に直面する。別の言い方をすれば、日本企業が得意とする”改善”だけでは、十分な業績を上げることが出来なくなっている。仕事をする中でそのことを実感し、おぼろげながら必要性を感じていたのが本書で解説されているファイナンス思考である。

低成長で競争が激しく、変化のスピードの速い今後の経営環境下においては、ファイナンス思考に基づく経営が必要であると思う。それはつまり、長期的な企業価値の最大化を目指し、それを実現するためのビジネスの枠組みを構想し、実現することである。これまでの自分自身の仕事を振り返ると、P/Lに焦点を当てていたがゆえに短期志向で視野が狭く、管理・調整的であり、長期志向・自由な発想で企業価値を最大化するための構想を考えることが出来ていなかったように思う。これからのMBA生活、そして今後のキャリアにおいては、ファイナンス思考を発揮し、企業価値の最大化のため力を発揮していきたいと思った。

 

ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論

ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論